2012年5月27日日曜日

湘南江の島界わい ものがたり(2) 「シンダばかりのしらす」


                                              阪東湖人

 まるで竜宮城のような駅舎、江の島に一番近い電車の小田急片瀬江ノ島駅。早速その駅前で「しらすあります」の旗が潮風にたなびいています。
 湘南で、生しらす、生しらす、ともてはやされるようになったのは、十年近く前からでしょうか。でも地元で「生じゃあ~ヨ、苦く食え~め~ジェン(よ)」という声も多く、最近は釜揚しらすの上にチョコンと生しらす載せる店も増えました。

 多くの店は奥で、酸素充満の大きなビニール袋をクーラーに入れ、カタクチイワシの稚魚、しらすを”飼って”います。
 が、大量に生かすのはやはり難しく、マンガ「クレヨンしんちゃん」の”死んだばかりのしらすだよ”という表現が適当か、店で客に出すのはそんな状態。量も少なく、お客が殺到すれば午後にはもう「売り切れご免」の店も多いのです。

 そもそも、この片瀬江の島付近は、海苔と同様、枠に入れ天日干しする手間のかかるタタミイワシが名物でした。チョイト酒のつまみに一番ですが、結構高い。それに、「イヤ、茅ヶ崎の烏帽子岩付近で獲れたタタミイワシのほうがウマイ」とか、いろいろ言う人もいます。
 脱線しますが、インドネシヤにもタタミワシがあり、安価ですが塩辛い。そういえば、イカの塩辛もフィリッピンでは調味料で使っていました。こうしたものは南洋が源流かも知れません。

 で、ついには三浦半島の先端三浦市三崎でも「湘南しらす」として販売を始めています。北原白秋作詞の城ヶ島の雨で有名な「三浦三崎が湘南か?」~とのご意見、当然です。これも昔からの論議で、三浦半島でも横須賀、三浦は湘南ではないが、葉山は(ハイカラな)湘南に入れよう~とする考えが多く、横須賀、三浦はこれにむくれました。
 さらには、あの人気のマイカー湘南ナンバーのこと。「海のない盆地秦野市と丹沢の麓伊勢原市がどうして湘南ナンバーなんだ!」と、相模ナンバーの各市がこれまたむくれたのです。でも、もちろん江の島のある藤沢市は当然、湘南ナンバーです。

 で、またその湘南に戻って、既報の湘南モノレールの終点駅、ご覧の通り”西鉄折尾駅の三倍の高さ”です。それから右上にかすかに見える尖塔、これは日蓮が危うく処刑されそうになった場所に建つ有名な龍口寺の仏舎利塔のようです。これまた、門司和布刈公園のパゴダを思い出しました。

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