2011年11月26日土曜日

「私と同じ世俗・即物的な同僚も、川原田徹展を食い入るように見た~」

阪東湖人 



 最初にトーナス・カボチャラダムスの個展を見たのは、もう30年近く前か、東京池袋の西武デパートでだった。当時はまだ川原田徹展というような感じだったと記憶する。世俗・即物的な私には場違いだが、これは同期女性Sさんから強く薦められてのことだった。ところが意外なことにその展示会場に、勤務先でこれまた世俗・即物的な同僚、それも技術系で日頃、芸術に縁のないと思われる男がいたことだった。この同僚、「ウン、ウン」とうなずきながら、川原田画伯の作品を食い入るように見ていたのだ。~~人は他人には見えない何かの心情を抱えている、また才能もあるもんだ~~以来、彼への評価を変えた。

 その後の川原田徹展は銀座だった。小倉同期ホテルマンM君が勤めるホテルのラウンジに同期生多数が集まった。画廊での展示鑑賞のあとの会合には弁護士K女史もいたし、画伯の奥方も一緒だった。私は奥方とは小倉高2年次で同クラス。「校舎内で学帽をかぶる是非の討議」のホームルームで学帽死守の男生徒に対し、こののち奥方は「かぶり続けるとハゲると言いますよ!」とピシャリ。これで討議は終わった。

 カボチャラダムスは、全国ネットの民放テレビに何度か紹介された。またNHKで「門司のシャッター通り」とかいうドキュメント風番組があったが、その最初と最後のシーンには、「ハメルンの笛吹き」のような格好でカボチャラダムスが一光景として登場したが、ナレーションでは何の説明もなかったのが、かえって印象的だった。

 こうしてイメージが定着後のトーナス・カボチャラダムスの個展。3年前だったか、埼玉県川口での催しにも出かけた。これは同期H君と一緒。会場の感想を求めるノートで画伯に対し、「確か、昔の西武デパート展示では、”サザエ浄土”というイメージ作品があったが、今はカボチャばかり、どうしてか?」と書き込んだが、もちろん返事はない。日頃、「お前たち(同期生)には作品は分かるはずがない」と、うそぶくのが画伯だそうだ。

 同期女性Sさんの葬儀には親しかった奥方も上京、参列された。同期女性のOさんと一緒に、北九州への新幹線まで見送りに東京駅に行った私。そのとき、半世紀前の「かぶり続けるとハゲると言いますよ!」の話題を出したが奥方、もう覚えていなかった。
 ところで今回、画伯のハガキは下記の内容。わが家では興味を持った娘が行ってみようか~と言っている。
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・テーマ:遊びもせんとや
     未完の天才 トーナス・カボチャラダムス最後の個展
・期 間:2011年12月5日(月)~15日(木)
・場 所:77ギャラリー東京都中央区銀座7-5-4 毛利ビル5F
・電 話:03-3574-1601
※なお、ギャラリーコンサートが、12月5日 15時(モーツァルト)
                                                       6日 15時(ビゼー)
                                                       7日 15時 (ヨハン・シュトラウス)
川原田氏は、この5日~7日に在京とのこと。