2012年4月7日土曜日

老人の夢 マボロシか  愛宕が丘にも魔性の美女がいた

                                                                                    
                   
                                                                                    
                                                                             阪東湖人

 もう遠い日のこと~成績優秀の某君が、ある美女の”魔の視線”を浴び、それが脳裏から消えず成績急降下という不幸な事件があったという。愛宕が丘も、そんな魔性の女(ひと)が確かにいたのだ~~先ごろ~あることから~半世紀前の、あの魔性のひとを思い出した。わたしも当時、同じく魔の視線を感じ (~たと、愚かにも錯覚 ) 惑わされた。でもわが成績は「底値安定」であり、某君のような不眠症にはほど遠かった。

 やがて愛宕が丘を離れたそのわたしにも、幸運の女神のほほ笑みがあった。東京晴海の見本市会場で大学進学した魔性の美女と偶然にも出会ったのだ。美女は展示受付でバイト中。~「チャンスょ!」と、女神のささやき~でも一生の不覚は伯父やイトコらと一緒~皆が雑な服装~美女に見せたくないこの野暮、粗野な周辺環境~当時、我が家は夜逃げさながら北九州から上京、赤羽に居住していた~グッとこらえ、その場を去ったのが間違い。魔性の美女とは個人的に再び出会うことはなかった。結局は偶然の積み重ねがひとの運命~~その冷酷さをいやというほど思い知った。

 魔性のひととは~~まず顔立ちがかわいい。先を予測して行動する頭のよさを持ち、損になることは絶対にしない。シビアに割り切り、情には決して流されない~プライバシーは見せない~常に男の視線を徹底意識した服飾ポリシーの美~を持つ。さらに、結婚には見極めた大物を狙う~~という。また勘違い男に言い寄られた場合、「エェ!~困るぅ」と逃げる~らしい。

 晴海の見本市会場と前後するが、小倉で大学マンドリンクラブの旅行演奏。これが旅行演奏の付き人、わたしの見た最後の故郷の姿だった。入場者には帰省中の魔性の美女の姿も。さらにあか抜けしたシックな装いに、われを忘れ見とれた。でもよくよく観察すればエスコート役にハンサム長身男性が。同期M君が言うには「あいつは大学生だが、(ファッション)モデルの男だ」。あの草刈正雄だったのか~いゃ、草刈クンでは齢が合わない。

 数年後、東京五輪後の不景気風がおさまり、順風から追い風景気に。遅れて来たわたしも「一級品も耐久品も一緒クタ採用」の就職環境でモグリ込み成功。その勢いで魔性の美女とは同期、わが遠縁の某さんに思い切って魔性の美女の消息を聞いた。「▲▲さんと結婚した」との返事はショックだった。M君からは慰められるどころかキツイお叱り。「聞かれた某さん、相当傷ついたと思うゾ。適齢期の女性に、そんな”敵”のことを聞く奴があるか!」と。このKY欠如が、わが人生”航路”の狂う最大要因であったことは、これものち思い知った。

 われらが魔性の美女がゲットしたのは~至極当然、当時かっぷくメタボの裕福な男性。そして現代、ふとテレビを見ると、与党大臣病どっぷりの「かっぷくメタボ」が、落選浪人中を拾ってくれた親分への恩義を忘れ、あろうことか騙し討ち、後がまに。この親分は元市川大門で顔こそ「噛み付き亀」だが無類のお人よし。涙ながらに党首の座を去った。その市川大門小倉警察は、かつて粗暴、傷害&殺人犯の扱いが、人口当たり全国ダントツを誇った。でも詐欺など知能犯は皆無の土地柄だったはず~~現代かっぷくメタボには腹黒い奴が多いが、堺町小出身だったか~このかっぷくメタボも厚顔無恥。

 でもメタボ類には、わたしのような金欠、勘違い男も世には存在する。晴海の見本市で魔性の美女と遭遇するも、乾坤一擲の機会は逸した。仮にアプローチ成功でも、金欠男では美女も「エェ!~困るぅ」だったろうと、その後納得しあきらめたはず。が、ふと思い出したあの日あのとき~~どんなウィザードを使っても脳裏の底の青春を消去できない~~だが老域のいまとなれば、果たしてすべては夢、マボロシだったのかとも~~

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