2009年9月17日木曜日

2009年8月1日  在ハノイ日本国大使館・「大使のよもやま話」

 日本の看護師問題とベトナム


7月22日、日本赤十字九州国際看護大学の喜多悦子学長が大使館を訪問してくれました。16年振りの再会です。90年代の初め、私が外務省の技術協力課長(JICA担当)をしていた頃に、喜多さんは日本国際医療センターの国際課長をしておられ、医療分野での技術協力について一緒に仕事をした時期がありました。今回は、ベトナムとの看護分野での協力の可能性をさぐるため、ベトナム北部のナムデイン省やハイズオン省にある看護大学を訪問する予定とのことでした。ベトナムとは昔から医療協力が進んでおり、青年海外協力隊事業では多くの看護師さんが各地に派遣されているのですが、大学教育レベルでの看護協力が実施されていないのは意外な感じがします。

翌23日、AHP(アジア・ヒューマン・パワー)の黒田孝之理事長らが大使館にお見えになり、看護師養成に関する活動状況についてお話を伺いました。AHPは日本の中小病院と提携してベトナム人看護師による日本の国家資格取得を支援する事業を行っており、現在でもAHPの支援の下で資格を取得した30人以上のベトナム人看護師が日本の病院で働いているそうです。今回、黒田理事長らは日越EPA(経済連携協定)の発効も視野にベトナム国内で看護師を養成し、日本の国家試験を受験する体制を整備するために訪越されたとのことで、ベトナム保健省や労働省、看護教育機関などの関係者と意見交換の機会を持たれたようです。

最近、インドネシアやフィリピンからEPAの下で日本に来る看護師や介護士が注目されており、ベトナムからもこうした職種の人々を受け入れたいとする日本側関係者とお会いする機会も増えました。日本の国家試験に合格するためには日本語の知識が欠かせませんので、専門職種の勉強と日本語の学習を一体化した制度をどのように確立するかが課題のようです。日本社会がますます高齢化する中で看護師や介護士をどのように確保していくのかは深刻な問題だと思います。

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